
元サラリーマンで現在無職のヒロユキと申します。
会社を辞めた今だから言えることですが、私は出来る限り仕事の囲い込みを行い、チーム内における自分の地位を上げていました。
その結果、どの案件においても通常のチームメンバーよりも発言力があったと思います。(本当は駄目なのですが)派遣なのにプロパーに指示を出したり出来る立場にしていただいたこともあります。
「会社にとっては非常に迷惑」と言われるかもしれません。
しかし、私はほぼ客先常駐で仕事をしていたので、継続して仕事を貰えるようにすることは自分だけでなく自社のメリットでもありました。
実施していた方法とメリット・デメリットを記載したいと思います。
(職業プログラマなので、その視点が多くなるかと思います。)
属人化を行う方法
私が行っていた仕事を囲い込む方法は以下のとおりです。
- 他人が作った成果物を勝手に直す
- 自分が作ったツールを使用
- マニュアル化や展開は極力しない
- 自分しか知らない仕事は最優先で実行する
1つずつ詳細を記載していこうと思います。
他人が作った成果物を勝手に直す
まず、「仕事を属人化する」と言うと「自分の仕事以外に全く興味を持たない」という人を想像されるかもしれません。
しかし、属人化をして評価を上げていこうとする場合には、むしろ積極的に他の人の仕事には興味を持つべきだと思います。
積極的に他人の仕事に興味を持つ理由としては、初期状態では必ず「チームの誰でも出来る仕事」しか与えられないためです。
プログラマーで言うと、詳細設計書を元にプログラムを書くなどというメイン作業です。この作業は主作業すぎて属人化しようとしても難しいです。
「その案件で出来ることは全部やる」くらいの気持ちで首を突っ込んでいくと、そのうち希少な仕事も任せてもらえるようになります。
そんなことをやっていると「他人の仕事をレビューする」という仕事が回ってくるようになりました。
レビュー では、明らかなバグは差し戻すが、些細なものは自分で全て修正します。小さなテクニックを他人に開示することがなくなるので、自分の地位を高く保つことが出来ます。
更に、「簡単なミスなので自分で直しておいた」という言い訳も立ちますし、レビューが嫌いな人からはむしろ感謝されます。
自分が作ったツールを使用
プログラマーという職業上、業務を効率化するためにツールなどを作成することがあります。
ツールを使用すると明らかに早いので、自分だけが仕事を早く終えることが出来るし、機械的に実施できるのでミスも少なくなります。
このツールは、もちろん自分だけで独占して他人には開示しないようにします。ただし、チームから求められたときには固辞せずに開示します。
実は、ツールを開示することにはメリットも有るかと思っています。
以前、ツールをひたすらチームに開示し続けたことがあるのですが、そのときはツーラーとしてチーム内で注目されていったからです。
一方で一切開示しないこともあったのですが、どちらの方が良かったかというと開示しない方ですね。
「自分だけが早く終える事ができる」という地位は圧倒的なものがあります。
マニュアル化や展開は極力しない
これは当たり前過ぎて書くまでもないかもしれませんが、他人から求められない限りはマニュアル化や展開はしません。
「他人から求められない限り」という点は、結構重要です。
仕事の囲い込みを行っていると、他人にバレやすいです。そこで、マニュアル化や展開を渋ってしまうと囲い込みが確定的になってしまいます。
求められたらしっかり開示することで、自分には悪気がないというアピールにもなるので、是非協力していきましょう。
自分しか知らない仕事は最優先で実行する
囲い込みを行っていくと、そのうち「この仕事だけは俺にしか出来ないんだ」みたいなコアな仕事が何種類か発生してきます。
その仕事は最優先で実行して、他人が介入することをなくすようにしましょう。
具体的な例でいうと、自分が最後にいた現場ではインフラ系の仕事(コンテナ作成)は自分が最速で終わらせて、他の人が触らないようにしていました。
そうすると、ほぼ他の人が積極的に対応することは無くなってくるのですが、念の為最優先で終わらせてしまいましょう。
その仕事の難易度が高いほど、属人化度が大きくなるのは間違いないので、難しい仕事であれば更に優先すべきです。
属人化のメリットとデメリット
ここまで属人化をする方法について記載してきました。
「なんだ、そんな方法か」と思われるほどアッサリしたものですが、意識的に隠そうと行動するだけで効果は上がるのは間違いないです。
私は客先作業では常に属人化をさせることが出来ていました。 しかし、属人化をすることでデメリットもかなり受けてきました。
そこで、メリットとデメリットを記載してみると…
メリット
- 自分の地位を確立できる
- ミスを自分で取り返すことが出来る
デメリット
- 仕事が集中しオーバータスクになる危険
- 直接評価されないことも多い
- 休みにくくなる
1つずつ詳細を記載していこうと思います。
自分の地位を確立できる
これは冒頭から申し上げていたことなので今更ですが、仕事を属人化することで自分の地位を確保することが出来ます。
自分がいなければ仕事が回らないという状況を作り出せるためです。
更に言うと、 属人化を続けていくと1つの分野に凄く詳しくなるので、スペシャリストとしてのスキルアップも見込めます。
「あの人のスキルは確かだ」という評判も広がるため、更に自分だけしか出来ない仕事が振られる可能性も高めることが出来ます。
ミスを自分で取り返すことが出来る
仕事にはミスがつきものだと思います。
チームでなく個人で仕事を囲い込んでいる場合は、「ミスに気がついたのでそっとカバーしておいた」という行為ができるようになります。
もし個人で対応するのがまずいような大型案件であれば、責任問題になるので周りに相談したほうがいいかもしれません。
自分のようなプログラマーであれば、ブラックボックス化してミスを隠蔽できるようにしたほうが得だと思います。
仕事が集中しオーバータスクになる危険
ここからはデメリットになります。
自分は以前に
- チームメンバーのスケジュール管理
- チームのレビュー
- 顧客担当者との調整
を担当しながら、更にメインプログラマーも兼任するということを実施したことがあります。
その結果完全にオーバータスクになり、顧客の評価を完全に失うという自体になってしまいました。
その時の話は以下の記事で書いています。
仕事を囲いすぎすぎて完全に自滅していまいました。こうなってしまわないように匙加減は重要かと思います。
直接評価されないことも多い
囲い込みをやっていると、自分のタスクがブラックボックス化してきます。
すると、他人から「あの人は、あれだけ仕事をやっていて凄い」みたいな直接的な評価は少なくなる可能性があります。(何をやっているかわからないため)
基本的に自分の仕事にしか興味がない人が大半なので、他の人が何をやっているかは見ないのですよね。
それでも属人化を行っていくのは専門性を漏洩させないためですが、タスク量に対して評価が上がらないということ自体が大きなストレスになることが多いです。
休みにくくなる
属人化してしまっていると
- 休むと仕事がストップしてまずいことになる
- 休むと他の人が自分の仕事をやってしまうのでは
などと考えてあまり休めなくなってきます。
1つ目のデメリットとして挙げた「仕事が集中しオーバータスクになる」もそうですが、仕事に相当フォーカスする情熱がなければ続かないですね。
一番の問題はチームとしての生産性が上がらない
属人化を行う方法とデメリット・メリットを挙げてきました。
ここまで完全に個人にフォーカスを当ててきましたが、一番の問題点はチームとしての生産性が上がらないということですね。
しかし自分のような客先常駐の仕事の場合には、 チームとしての生産性をあげることより個人評価が優先されることもあります。
客のチームが強くなってしまえば、自社の相対的な価値も落ちてしまうためです。
そんな時には、属人化戦略も悪くないと思っているので、是非試してみてください。