
SIer(の奴隷として)10年以上働いていた管理人の「ヒロユキ」と申します。
最近のQiitaなどの記事を見ていると、SIerは滅茶苦茶叩かれていますよね。大抵、SI業界自体がオワコンと言われています。
また、「Web系企業のほうが良い」という意見も多いですが、SIer(の奴隷)歴の長い私からすると「元請けになれる大手SIer 」はキャリアを積みやすくておすすめできます。
ちなみにWeb系企業で働いた経験はないのですが、アジャイルのスクラムで新規にWebシステム開発をやったことがあるので、その体験との比較になります。
私がSIerがオワコンではないと思う理由について記載していきたいと思います。
SIerとWeb系の違い
まずSIerとWeb系企業に定義について、自分の見解ですが…
SIer
外部からシステム開発を受注して開発する企業。
案件は新規、改修、保守など様々で、規模も100億を超える超大型案件から1人月くらいで終わる案件まで様々です。
超大型案件については、Web系企業では体験することが出来ない領域ですね。
また、多重請負構造をとっているのも特徴です。
多重請負構造とは…

上記画像のように、プログラミングなどの下流工程を他の企業に発注します。
また派遣やSESなどにより、弱小・中堅SIerから大手SIerに出向して働くという形態も多いです。
Web系企業
GAFA(Google,Amazon、FaceBook,Apple)のように自社でWebサービスを展開していおり、更にそのシステムを内製している企業。
作成するサービスはSIerの案件と比較すると小さい規模のものが多いです。
Webサービスはスピードが勝負の業界になってきていますから、開発手法にはアジャイルを用いることが多いです。DevOpsという言葉がありますが、ツールなども積極的に利用し効率的に開発しています。
SIerと比較すると設計書などのドキュメンテーションが少ないです。(特にSIerのようなテスト仕様書作成などはなくテストは自動化することが多いです。)
オープンソースを使用することが多いため、比較的モダンな技術に触れやすいです。
対してSIerの場合は、 エンタープライズ向けに固くいくので有償のシステムなどを利用することが多いです。
DBを例に出すと…
Web系:MySQL、Postgres、 MongoDB
SIer:Oracle、SQLServer、DB2
というイメージですかねえ。
SIer叩かれすぎワロタw
QiitaでSIerと検索してみると…

ぶっ叩かれすぎててワロタw
まあ自分もSIerの下請けで長く働いていたが、全くスキルがつかず「もう人生半分ぐらい詰んでます」という状況に追い込まれたので頷ける部分はあります。
どれだけクソだったかと言うと以下のとおりです。
- 20代はシステムエンジニアの補助としてひたすらEXCELの修正
- クライアントPCにひたすらグループウェアを入れていく案件に幽閉される
- 印刷のテストだけのひたすらやる案件を1年
- COBOL+VB6というレガシーシステムの保守を3年
結果…プログラマーと言うよりノースキルに近い30代が作られてしまいました。
なぜオレはあんなムダな時間を…
「SIerはオワコンではない」と思う理由
SIer批判の1つに、「SIerはビジネスとしてオワコン化する」というものがあります。
理由としては…
- フルスクラッチ+オンプレミスの案件は減り、ユーザ企業はクラウドサービスに移行していく
- IT最強国アメリカを含む海外ではSIビジネスがオワコン化している
- グループウェアみたいなイントラ向けシステムも全てWebベースに変わりつつある
というところですが、日本はアメリカと比較すると特殊性が高いのでSIビジネスは衰退しないと思います。
まず、確実に大企業もクラウドサービスを使う流れは来ているものの、アメリカの「企業の業務をクラウドサービスに合わせる」というところまでは来ないと考えています。
理由としては、日本のサービスは非常に複雑なことが多いからです。
どっかの携帯会社のHPの引用ですが…

どんだけプランあるんだよ!!
しかも学割や家族割などのオプションもありますので計算は非常に複雑です。
Google検索とYahooJapanを比較してもわかるのですが、やはり日本はごちゃごちゃしているので、大企業の案件規模は小さくなるかもしれませんが、発注が少なくなることは無いという推測しています。
「アメリカのように内製になるのでは?」という意見についてですが、日本は非常に雇用流動性が低いのでそうはならないと思います。
要は日本は正社員を簡単にクビにすることが出来ないので、大規模なシステム開発で大量の社員を抱え込むのが難しいです。
SIビジネスの良いところは、「人が必要になときだけ集める」ということが出来る点です。
少なくともSIerの主力顧客である官公庁がシステムエンジニアを抱え込むことは絶対ないと思います。
大手SIerで上流工程を担当しよう
SIは非常に優れたシステムだと思っています。
- 人が必要な時だけ、人を集めることが出来る(前述のとおり)
- 開発、テストを切り離しアウトソーシングできる
- ウォーターフォールであるため予算の見通しが立つ
- 責任範囲を明確にしているため、追加料金なども請求しやすい
Web系企業では、「テストは自動化して効率よく実施する」のですがSIerの場合は「安くアウトソーシングするので、そもそもやらない」です。
分業化して人に依頼というのは最も有効な手段だと思いますし、依頼先は海外オフショアなども多いので自社利益も多いです。
私は、テスターなどをずっとやってきたためキャリアになりませんでしたが、大手SIerの上流工程は海外アウトソーシングが出来ない部分なので、SIerが続く限り需要があります。
顧客から要件を引き出してまとめたり、プロジェクトの管理をするのはプログラミングとは別次元のスキルで、習得難易度が高く独学も難しいため、供給過多になりにくい部分です。
一方でオンライン講座や便利なフレームワークの出現で、プログラムは習得難易度が下がっているため、競争相手は非常に多そうです。
また、自社システムの開発をやっている方とSIerの方を比べると、SIerの方のほうが凄みがあることが多いです。
”凄み”とは抽象的な表現ですが…
- 期限は必ず遵守
- 弱みは見せない
- 「言った、言わない」というのを問題を曖昧にしない。責任がどちらにあるか証拠を集めておく
- ステークホルダーや社内政治の動向に敏感
- 打ち合わせの資料も手を抜かない
という感じでしょうか。もちろん個人に依存すると思うのですが、Web系の方はSIerと比較すると全体的に緩いイメージがあります。
このような何処に行っても重宝する顧客スキルを獲得できるのが大手SIerの魅力です。
平均年収はSIerのほうが高い
SIerがオワコンという話で一番客観的な事実を示せるのは給料の高さだと思います。
下記はSIerとWeb系の比較をすごく研究されているサイトなのですが
WEB系企業はSIerに比べ年収が100万円低い傾向が分かります。
実際に私も100万円近く年収が下がりました。
SIerの平均年収:788万円
WEB系企業の平均年収:681万円
https://www.it-career-navi.com/entry/change-from-se-to-webengineer3
SIerのほうが平均年収は高いということがわかります。
本当にオワコン(衰退業界)なのであればこのようなデータはありえないのではないでしょうか。
上位のNRIやNTTデータとかを見るとガチ年収が高いです。
これは上位SIerが儲かる領域だけを担当しているからという部分が大きいかと思います。
前述したとおり「開発などの誰にでも出来る部分」は自社リソースを使わないというモデルは非常に優れており、「全てを自社でやる」という会社よりもリスクが少ない形態だと思います。
まとめ
私は、大手SIerでの上流工程はエンジニアとしてのキャリアとしてお勧めできると思っているので記事にしてみました。
決してWeb系の企業をディスっているわけではなくて、「SIer叩かれすぎじゃね」という思いがあったので記事にしてみた次第です。
あとテストや単純作業しかやらせてもらえない底辺SIerは糞です。